エピソード2「プロトタイプの攻撃」
皆様、ご無沙汰しております。いただに工業で代表をやっている、板谷と申します。
弊社は呉市音戸町で溶接技術を駆使し様々なモノづくりのお手伝いをさせていただいております。特に造船など普通の溶接ではないようなものを得意として活動しております。
と、前回と同じ挨拶を颯爽とこなした私ですが、またもやこのような覇気のない表情をお見せすることになってしまいました。デジャブではないのでご安心ください。
お気づきだとは思いますが、あいつが私をこのような表情にさせた出来事を、皆さんにも見ていただきたいと思います。
スズキ
こないだぶりです!早速ですが、プロトタイプ作ってみたので見てもらってもいいですか?
私
ほんとに来たんだ。。。出来るかどうかわからないって言ってるじゃん。
スズキ
まぁまぁ、それは置いときましょうよ。大事なのは気持ちっすよ!気持ち!
それよりこのデータ見てみてくださいよ。どうっすか?改造できそうっすか?
私
いやいや、気持ちだけでモノ作りは出来ないからね。溶接技術や知識も大事だからね。
それにデータだけじゃどうもわからないねー。
スズキ
でしょうね。そういうと思いましたよ。んじゃ一回外行きましょう!
こいつは本当にどうしようもない奴だ。
もう何が何だか分からない、怖いなぁ怖いなぁと思っているうちに、ガタガタガタガタと外に連れ出され、見せられたのが。。。
スズキ
ヘイヘイヘーイ。見てくださいよ!これ!すごいっしょ!プロトタイプっす!
こいつは酔っているのだろうか?飲酒運転しているのだろうか?
これのどこがプロトタイプと呼べるのだろうか?
なんか一丁前にエンブレムがついているところが余計に私の感情を逆なでしてくる、そういう意味では素晴らしい出来である。
スズキ
一回試乗したらわかりますよ!テンション上がりますから! さぁ、どうぞ!
しかし恐れを知らない若者もいたものだ、土の上に置かれたガラクタに試乗しろと言ってくる。
だが、こういう若者は嫌いじゃない。
試乗してみた。
思った通り、なんの感情も湧いてこない無我の境地である。こいつは何に拍手しているんだろうか?
スズキ
どうですか?テンション上がるでしょ??これ、作ってもらえますよね!溶接してもらえますよね!?
私
いや、土の上に座ったって感想以外何もないよ。そりゃそうだよね、土の上に座ってるだけなんだから。
スズキ
これだから想像力のない人は!僕はここまでやったんですよ!次は板谷さんの番ですからね!やってくださいよ!改造!
私
いや、これじゃ出来るか分からないから。。。
スズキ
わかりました、いったんプロトタイプを社長の車の中に入れてください。
私
入れてどうするの?
スズキ
僕が持って帰ったら絶対やってくれないんで、いったん車に入れたら多分やる気になります。まぁ、いったん入れてください。
私
いったん入れるけど、やるかどうかはまだ分からないから。。。
スズキ
ありがとうございます!次は試作品作ってくださいね!カートは社長のところに送っておきます!んじゃ帰ります!お疲れっす!挑戦してください!
そう言って勝手に帰っていきました。
前回も言ったが確かにいただに工業の社風は「挑戦!」である。
あいつの為に挑戦するのもどうかと思うが、なんとか考えてみよう。。。